俺はTinderをぜんぜん使いこなせない

この夜、何があったのか回想していきます。

Tinderでメッセージのやり取りのみを1〜2ヶ月続けてる女性がいた。

1つ年下とかだったと思う。写真は雰囲気のみでどんな人かはいまいち分からない。

そんなに意気投合してるわけでもないけどTinderでは珍しく長期的なラリーをしてくれる人だったから色々話してた。

学生時代は柔道をやっていたらしい。美術館と喫茶店が好きらしい。仕事がブラックでしんどいらしい。

彼女はアセクシャルなんだけど、誰かと一緒に眠りたいからTinderの男をよく家に呼んでいたらしい。

添い寝をする為に好きでもないセックスをするとのこと。

いまいちピンとこない感覚。

ツイートの日、23時くらいに

「会心のカレーが出来ました。」

というメッセージを貰った。

小腹が空いていたので

「食いてえ~。」

みたいなことを返した。

本当に食べに行くつもりなんて無かったけど

「今から食べに来ます?」

という返事が来たので変なスイッチが入ってしまい、添い寝要員になる覚悟を決め、行ってみることにした。

電車が遅延してたのと、変なスイッチのせいでチャリで行くことにした。

人が少ない深夜の夜道は信じられないくらい寒かったけど、妙な楽しさがあった。

カレーが食べたいというよりは、真冬の深夜に突如発生した変なイベントにハイになっていたんだと思う。

凍えながら45分ほどチャリを漕ぎ、彼女の家の近くのコンビニで待ち合わせた。

容姿も声も知らないまま迎えたはじめまして。

メッセージでもずっと貫かれていた敬語は、体育会系由来の年上に対する敬語が抜けてない感じで、変な距離感を感じたまま彼女の後ろを着いて行った。

新しくて綺麗なマンションだった。

部屋は物が少なくて落ち着かなかった。

芳香剤の匂いがちょっとキツかった。

いつでも添い寝相手を呼べるように綺麗にしてるのかな、とか考えてた。

あんまり話が弾まないので彼女がコンビニで買ってくれた午後の紅茶(無糖)を頻繁に口に運んだ。

俺は会話が下手くそ…

何か映画でも観ようと提案してくれたので、Netflixのマイリストを見せてもらったけど、お互いが未視聴の作品が意外と見つからずグダグダした。

結局「これめっちゃ良いんで!」と彼女は視聴済みの『ヤクザと家族』を観ることに。

初対面で2時間越えのヤクザ映画鑑賞会。

そこそこシリアスな映画だったから、真剣に黙々と映画を観た。

現代のヤクザは大変そう。市原隼人久しぶりに見たな。

観終わったら2時半とかになっていたので寝ることに。

アセクシャルの人と、本当に眠るためだけのベッドインを果たし、消灯。

セミダブルのベッドに2人用の枕。完全添い寝仕様になっていた。

暗闇の中でなにか喋ったけど覚えていない。

全然打ち解けていないまま、触れ合うこともせず、ただただ隣で眠ろうとする状況と関係性が気持ち悪すぎて落ち着かなかった。

眠いんだけど眠れる気がしない。

この人なんなの??という気持ちを必死に鎮めて眠ろうとしてみたけど、違和感は増していくばかり。

芳香剤の匂いで気持ち悪くなってきたし、俺はカレーを食べていない。

「すみません、大変恐縮なんですが眠れなそうなのでカレーだけ食べて帰ってもいい…?」

添い寝相手になれなくてごめんね。

カレーご馳走様でした。

職質に怯えながらチャリを飛ばして帰宅。

Tinderを開いたらマッチを解除されてました。

さようなら。お元気で。